私が関ジャニ∞のファンを辞める理由
6人の関ジャニ∞を見る気がしない。
見ると苦しいからだ。
6人のことが嫌いなわけではない。むしろ大好きだ。
でもやっぱりすばるくんのいない関ジャニ∞を見るのは辛い。
このことについてずっと考えていた。
「あぁこれはドラえもんの違和感と同じなのだ」
私は2005年に声優陣が交代してからの『ドラえもん』をまともに見たことがない。
まぁいい歳の大人だし、子供もいなければ、そもそも見る機会もないわけだが、それでもこの10年以上、意図して新しいドラえもんを見てこなかった。何気なくチャンネルをザッピングしていてドラえもんが映ろうものなら、脳内でできる限り音声をシャットダウンし、慌ててチャンネルを変えた。
私にとってのドラえもんは、子供のころからずっと大山のぶ代の声であり、大山のぶ代こそがドラえもんなのだ。
それでも新しいドラえもんを見てしまえば、きっと徐々に新しい声に慣れてしまうだろう。最初はどんなに違和感を持ちながら見ても、以前の記憶は少しずつ上書きされていく。私の中の大山のぶ代のドラえもんは風化し、今ある新しいドラえもんが最も自然なドラえもんとなる。
これは当然のことだ。だって過去は過去でしかない。日々更新され続ける今を、人々が追い続ける今を、過去が上回るはずがないのだ。
でも私はこれが嫌だった。私は違和感を持ち続けていたかった。
あれだけ皆が親しんだ大山のぶ代のドラえもんの声が、経年の中で失われていく。2000年以後に生まれた子供たちは、新しいドラえもんの声しか知らない。
でも私は忘れたくない。おおげさかもしれないが、死ぬまであの声を忘れたくない。
少なくとも私の中のドラえもんは、永遠に大山のぶ代の声でしゃべり続ける。
私が6人の関ジャニ∞を見たくない理由はこれにすごく近い。
すばるくんがいないという違和感を失いたくないのだ。
今回のツアーから、すばるくんのパートを別のメンバーが歌った。当然最初は違和感を抱く。「やっぱりあの突き抜けるような歌声が欲しいな」と思う。でも何度も何度もすばるくんのいない6人の歌を聞くうちに、それが当たり前になる。新曲には初めからすばるくんのパートがない。最初から6人で成立している。
歌だけではない。バンドも、ダンスも、MCも、バラエティも、すばるくんがいた場所を、6人は強く意図せずとも、それほど長い時間をかけず、おそらく自然と埋めていくだろう。それを見る側の違和感もごく自然に薄れていくはずだ。
たぶんみなすばるくんを少しずつ忘れていく。
でも私は失いたくない。
すばるくんがいる7人の関ジャニ∞で、記憶をとめたい。
更新され続ける新たな未来に勝てないから、今6人を見ることをやめたい。
私が関ジャニ∞のファンを卒業する理由はこれだ。
錦戸亮は関ジャニ∞が続いていく以上、卒業ではなく中退だと言ったけれど、私はやっぱり卒業だと思う。
そして6人の関ジャニ∞がはじまった。
あの会見から5ケ月考え続けて、そう自分の中で結論付けた。
2011-2012年に大阪ドームで行われた単独カウントダウンコンサート。
あの時、すばるくんはようやく見つけた居場所を失い絶望していた。
関ジャニ∞の活動の傍ら、念願のバンド『FLAT FIVE FLOWERS』を結成し、自分がやりたかった音楽が出来るようになった矢先、バンドメンバーだったFIVEが年末に事務所を退所したからだ。
テレビ中継用に、にんじんの被りものを着せられたすばるくんは、テレビに映らない場面では、顔も見せず死んだように四肢を投げ出していた。私が何度となく『にんじんの死骸』と呼んだすばるくんだ。
当時のすばるくんは気持ちのアップダウンが今より激しく、喋らない、笑わない、くらいのことはままあることだったが、私はあの時の渋谷すばるの姿ほど失望したものはない。
「そんなに絶望するくらいならFIVEと一緒に行けばよかったのに。結局、関ジャニ∞を捨てる覚悟も、事務所をやめて一人になる度胸もないんでしょ?」
あの瞬間に私は渋谷すばるを見くびった。
だから今回、すばるくんが関ジャニ∞も事務所をやめて、自分一人でやっていくと宣言した時には、悲しくて辛くて泣いたけど、反面、言いえぬ嬉しさがあった。
あの時、どうせ何も捨てられないくせにと私が見くびったすばるくんは、36歳で積み上げてきたものをすべて捨てた。
あの会見での宣言は、私にとって最大級に辛い仕打ちだったけれど、この決断が出来るすばるくんをめたくちゃかっこいいと思った。だからこの人が好きなのだと思った。
2005年にドラマ「がんばっていきまっしょい」で錦戸亮に落ち、関ジャニ∞を好きになって、あっという間に渋谷すばるに転がって13年。
この間、死ぬほど辛いことも、悲しいことも、しんどい時もいっぱいあったけど、明日を生きるための糧を関ジャニ∞にたくさん貰った。ありがとう。
これからの関ジャニ∞を私は見届けられないけど、前に進んでいく6人を茶の間から薄目で応援しています。
がんばれ、関ジャニ∞
がんばれ、渋谷すばる